« 大晦日 | トップページ | 元日 »

過疎

昨日の読売新聞、昨日は読んでいる時間がなかったので今日読んだ。
厳しい過疎の現実、奥能登の現実。

 

Yomiuri_2  
門前地区の集落住民1人
86歳橋本千代子さん

 輪島市門前地区に、たった1人の集落がある。
町中心部から車で30分の山中には、数件の家が残るが、住民は亡くなったり転出したりで、2年ほど前から橋本千代子さん(86)だけだ。
同地区はこの1年でさらに高齢・過疎化が進み、消滅の危機に直面する集落も多い。
「いつまで体が動くかわからんさけ、来年より今の1日1日が心配」と橋本さん。
寒風が吹く山あいに、ひっそりとした年の瀬が訪れている。

 「多い時は5軒くらいあったけど、もうだいぶ前やわいね」。
小屋で白菜を漬け込みながら橋本さんは辺りを見やった。
すぐ裏手のおばあさんが5年ほど前に亡くなり、病を抱えた夫と2人だけだったが、2年前にその夫も失った。
ふもとの集落は数㌔離れ、重たい雲の下、山中に橋本さんの立てる物音だけが響く。
「みんな『さみしないか』と聞くけど、まだ体が動くさけ」

 60年ほど前に門前地区の別の集落から嫁ぎ、農業で2男1女を育てた。都市部で暮らす子どもたちに「こっちにこい」と言われるが、「住み慣れたとこやけ、気楽なんや」と断ってきた。
野菜は今も自分で作っている。
買い物は子どもが来た時、車に乗せてもらって済ませるが、月に何度も行けないから、肉や魚を買い込んで冷凍する。
買い物に行くといつも、「町にも若者がおらんなあ」と思う。

 門前地区にとって、2010年は試練の年だった。
最大の事業所「石川サンケン」の半導体工場が撤退の方針を示した。
奥能登談合疑惑では、地元業者にも多額の″罰金″が見込まれ、基幹産業の建設業界は浮沈の際に立たされている。

 ピーク時に2万人近かった人口は、7033人(12月1日現在)まで減り、4月には初めて65歳以上が50%に達した。
2007年の能登半島地震の復旧工事はほぼ完了したが、被災を機に家や農地を捨てた住民も多く、活気は戻らない。

 「今年は何とか達者に動けたけど、隣近所がおらんのは不安や」と橋本さん。
心臓に持病を抱えているため、心配する子どもたちから毎日のように電話が来るのが救いだ。
家は地震で床や戸が傷んだままで直す予定もない。
「もうあと何年もない」という思いからだ。

 静まり返った集落にも、新年の足音は近づく。
橋本さんも子どもたちが遊びに来た時のために、モチを作り始める。「今年もみんな来ると思う。来てくれりゃ、にぎやかでええな」。
年輪の刻まれた顔が、少しだけほころんだ。

« 大晦日 | トップページ | 元日 »

日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事

2017年4月
            1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30            

気象協会

  • 気象協会

最近のトラックバック